レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか:世界的なブランドへ成長させた戦略

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書籍『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか』の読書レビューです。

清涼飲料水の『レッドブル』は、世界160か国以上で販売され、2012年に52億本、2019年には75億本を売り上げています。

どのようにして世界的なブランドへと台頭したのか、なぜマーケティングが画期的といわれるのか、その秘密を知ることができます。

著:ヴォルフガング ヒュアヴェーガー, 翻訳:長谷川 圭, その他:楠木 建
目次

利益率70%という高付加価値ブランド

リサーチ会社の調査によれば、国内エナジードリンク市場は、2019年には450億円まで拡大しており、その背景には市場の開拓者である『レッドブル』が大きく影響しています。

今やどこの小売店でも販売している、エナジードリンクのレッドブルは、日本で言えば栄養ドリンクとなります。

185ml缶という小さめの容量に200円という高単価にも関わらず、コアにファンを獲得することで、市場を席巻し、なおかつ高い利益率を出しています。

専門家が計算したところによると、ドリンク一本の価格から材料費やその他の経費を差し引いた利幅は、にわかに信じがたい70%をという数字になるそうだ。

書籍『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか』

同じ清涼飲料水メーカーである、コカコーラ社の2019年における利益率27%と比較をすると、レッドブル社がいかに高利益率なのかが分かります。

国によって価格設定や容量の違いはあるものの、仮に日本価格の200円と総売上本数の75億本で試算をしてみても【売上高:1兆5,000億円|利益額|1兆500億円】と、その数字に驚愕します。

レッドブルの新らたな市場を開拓

なぜ、高単価なエナジードリンクが、これほど売れるのかという疑問を持ちますが、その背景には、圧倒的なマーケティングによって創り出されたブランドにあります。

今でこそ炭酸入りのエナジードリンクとして定着しているレッドブルは、もともとはタイで販売されていた栄養ドリンクの1つでした。

グラティン・デーンの名前で販売されていましたが、タイの栄養ドリンク市場は、日本のリボビタンDがほぼ独占していました。

1984年にレッドブル創業者のディートリヒ・マテシッツ氏が、国際的な販売権を獲得しています。

改良を重ね、レッドブルに改称し、これまでの栄養ドリンクではなく、エナジードリンクとしての、販売を開始しました。

すでに先行優位者のいる栄養ドリンクではなく、エナジードリンクと売り出したレッドブルは、新たな市場を創りだしました。

レッドブルのための市場は存在しない。我々がこれから創造するのだ。

書籍『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか』

栄養ドリンク市場という競争の激しいレッド・オーシャンからズラした、未開拓のブルー・オーシャンを自ら創造することで、驚異的な成長を遂げたレッドブルは、どのようにして新しい市場を創りだすことができたのでしょうか。

エキサイティングを生み出すブランディング

マテシッツ氏が消費財メーカーのユニリーバでマネージャを務めた、マーケティングのプロフェッショナルであることから、レッドブル成長の大きな要因は、圧倒的なマーケティングにあます。

値段の高い缶ジュースに多くの人が熱狂するのは、マーケティングによって創造されたブランドワードである「翼をさずける」にあるように、レッドブルを飲むことで、パワーを得られるような、一種のプラシーボ効果を生み出しています。

消費者が求めているのは飲み物ではなく、エキサイティングな体験、生きる喜びなのだ。そのためには本来の商品価値よりもはるかに高い対価を支払うことに、消費者はためらいを感じない。

書籍『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか』

マーケティングに外せない理論の1つに、マズローの5大欲求というものがあり、これは時代と共に変化をしていき、現代においては「自己実現の欲求」が求められており、レッドブルはその欲求を満たすことを見事に果たしているといえます。

まとめ

ブランディングは差別化戦略であり、圧倒的なブランドは、他の類似する商品を寄せ付けないほどの魅力を持ち、消費者を惹けることができます。

レッドブルの他にも、アップル、スターバックス、ディズニーランドも、ブランドとしての地位を確率しており、それらが創りだす世界観に消費者は魅了されています。

消費者は、商品のメリット(機能)だけを買うのではなく、そこからしかベ得られないネフィット(利益)を求めているといえます。

レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか(著者:ヴォルフガング・ヒュアヴェーガー|発行:2013年10月28日|ページ数:244ページ)

著:ヴォルフガング ヒュアヴェーガー, 翻訳:長谷川 圭, その他:楠木 建

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